政府の施策が中国の手術ロボット市場に及ぼす影響


政府によるデジタル医療推進の流れを受け、中国における手術ロボットの導入は今後加速する可能性が高い。“次世代AI産業”の推進を謳い2018年に開始された『3カ年行動計画』は、手術ロボットのニーズ拡大を受けたものだ。

『医療機器産業開発計画』(2021〜25年)では、手術ロボット産業が重点分野の一つとして挙げられており、主要疾患領域への導入を後押しする見込みだ。

政府の施策が中国の手術ロボット市場に及ぼす影響

国内における研究開発の推進は、ロボティクス技術の導入を加速させる可能性が高い。『第14次五カ年計画』(2021−25年)は、医療ロボットの創出など医療機器産業のデジタル化加速を掲げており、ロボティクス関連の研究開発プロジェクトへより重点的な投資が行われる見込みだ。2025年までに世界の製造強国入りを目指す『中国製造2025』計画において、先進医療機器が重点開発領域とされていることも、国内企業による手術ロボット分野のブレークスルーと国内シェア拡大を後押しするだろう。

また中国政府は国内メーカーへの支援を加速し、国産製品を対象とした許認可プロセスの簡略化をつうじて革新的医療機器の市場化スピード向上を図っている。

こうした施策を受けて、中国では手術ロボット専業メーカーの数が増加している。2005年創業の整形外科手術ロボット・メーカーTINAVIに続き、近年はJianJia RobotsやHurwaといった新興企業が市場に参入。北京市がTINAVI製ロボットを使った脊柱・腰部・膝の手術を医療保険の対象に含めるなど、公的支援も積極的に行われている。

中国手術ロボット市場の展望

中国における手術ロボット市場の拡大に伴い、医療分野へのロボティクス導入は加速する可能性が高いだろう。